技術情報
機材を決める前に知っておきたい数字をまとめました。送出に必要な Mac、出力フォーマット、SDI Fill & Key の仕組み、NDI の帯域、SRT とリモート操作(AIR TAKE 2)、素材のデータレートを載せています。AIR TAKE 1 と AIR TAKE 2 で違うところは、それぞれ書き分けています。最終的には、無料の評価版で、実際の機材と素材を使って確かめてください。※1
AIR TAKE 1 は 4096×2160
(全 8 種類)
(v210 / Ay10)
アルファ付き・最大値※4
FROM FILE TO WIRE素材から出力まで
1 つの PROGRAM を GPU で合成し、その映像を SDI・サブモニター・NDI へ同時に出します。動画のコマを進めるのは、動いている出力のうち優先順位がいちばん高いもので、ほかの出力は同じコマを使います。優先順位は、AIR TAKE 1 は SDI → サブモニター → NDI/Syphon → 操作画面の順(SDI を使わないときはサブモニターが基準)、AIR TAKE 2 は SDI が動いている間は SDI が基準です。SDI がないときは先に ON にした出力が基準です。AIR TAKE 2 は同じ PROGRAM を SRT へも送り、NDI/SRT で受けた映像を背景として合成することもできます。
動画は macOS 標準の AVFoundation で読み込みます。Mac にハードウェアデコーダーがあれば、それを使います。静止画は、送出する前に別スレッドで GPU 用のデータに変換しておきます。
キャンバスの解像度で、PROGRAM と DSK を RGBA で合成します。フェードで変化させるのはキー(アルファ)だけで、フィルの色は変えません。
フィル+キーを 8bit または 10bit で出力します。3 フレームを先に送っておく(1080p59.94 で約 50ms)ので、コマ落ちしにくくなっています。
2 台目のディスプレイへ全画面で出力します。クロマキー用の緑の下地も付けられます。
透過を保ったまま、音声(48kHz・2ch)と一緒に送ります。AIR TAKE 1 は最大 1080p、AIR TAKE 2 はキャンバスの解像度のまま送ります。
H.264/AAC の MPEG-TS にして SRT Caller で送ります。最大 3840×2160(それより大きいキャンバスは縮小)。
WHAT MAC DO I NEED?推奨スペック
必要な性能は、解像度・フレームレート・同時に使う出力の数・素材のコーデックで大きく変わります。下の表を目安にしてください。
| 使い方 | Mac | メモリ | 素材の置き場所 |
|---|---|---|---|
| HD 1080・〜30p 出力は 1 系統 |
Apple シリコン搭載の Mac(M1 以降) Intel Mac は AIR TAKE 1 だけ※2 |
8GB 以上 | 内蔵 SSD、または USB 3 接続の SSD |
| HD 1080・59.94p動作確認済み SDI+サブモニター+NDI |
M1 Pro/M2 以降 動作確認機:Mac mini(M2 Pro・16GB)※3 |
16GB 以上 | 内蔵 SSD、または Thunderbolt/USB 3.2 接続の SSD |
| UHD 4K・59.94p動作確認済み ProRes 4444 の再生(v1.1) |
M2 Pro 以上 動作確認機:Mac mini(M2 Pro・16GB)※3 |
16GB 以上 | 内蔵 SSD、または Thunderbolt 接続の SSD(読み込み 1GB/s 以上) |
| UHD 4K・59.94p目安 SDI+サブモニター+NDI |
Max/Ultra 搭載の Mac(Mac Studio など) | 32GB 以上 | 内蔵 SSD、または Thunderbolt 接続の SSD(読み込み 1GB/s 以上) |
「目安」は、仕組みとデータ量から見積もった構成です。すべての組み合わせで実測したものではありません。4K で使うときは、本番と同じ素材で評価版を試し、落ちフレームが 0 のままか必ず確認してください。
性能を左右するもの
- メディアエンジン:Apple シリコンは H.264・HEVC をハードウェアで処理します。M1 Pro/Max/Ultra と M2 以降は ProRes もハードウェアで処理します。
- GPU:キャンバスの解像度で毎フレーム合成します。4K の画素数は HD の 4 倍です。
- ディスクの速度:ProRes 4444 の 4K 59.94p は、1 本だけで約 330MB/s 読み込みます。Apple シリコン搭載の Mac の内蔵 SSD なら十分な速さです。
避けたい構成
- バッテリー駆動:性能が落ちることがあります。アプリでもバッテリー駆動中は警告します。
- HDD・ネットワーク上の素材:4K や高ビットレートの素材では、読み込みが間に合わないことがあります。
- USB DisplayLink のアダプター:GPU を直接使えないため、サブモニターには使わないでください。
CANVAS & FRAME RATE出力フォーマット
| 項目 | 対応 |
|---|---|
| キャンバス | HD 1080(1920×1080)/HD 720(1280×720)/UHD 4K(3840×2160)/DCI 2K(2048×1080)/DCI 4K(4096×2160)/カスタム AIR TAKE 2 は、縦型(1080×1920)・4:5(1080×1350)・正方形(1080×1080)・UHD 8K(7680×4320)も選べ、カスタムは長辺 7680・7680×4320 の画素数まで(AIR TAKE 1 のカスタムは最大 4096×2160)。SDI は機器が対応するモードだけです |
| フレームレート | 23.98 / 24 / 25 / 29.97 / 30 / 50 / 59.94 / 60p |
| SDI の形式 | 8bit(BGRA)/10bit(YUV 4:2:2 の v210、フィル+キーは Ay10)。使える組み合わせは DeckLink 機器によって異なります※5 |
| キーの形式 | プリマルチプライド(既定)/ストレート。スイッチャーに合わせて切り替えます |
| 音声 | 48kHz・2ch。SDI にエンベデッドし、NDI でも送ります。基準信号(1kHz −20dBFS)も出せます |
| NDI | AIR TAKE 1:最大 1920×1080(4K のキャンバスも 1080 に縮小)。SDI・サブモニターと同時に使うときは、30p を超えるレートを半分に落とします(59.94p → 29.97p) AIR TAKE 2:キャンバスの解像度・フレームレートのまま送ります。SDI または OBS より先に ON にした別の出力が動いている間は、30p を超えるレートを半分に落とします |
| SRT(AIR TAKE 2) | H.264 Main + AAC-LC 48kHz ステレオ 128kbps(MPEG-TS)。24 / 29.97 / 30 / 59.94 / 60p。最大 3840×2160 |
UNCOMPRESSED TO THE CARDSDI Fill & Key
DeckLink 機器には、非圧縮の映像を毎フレーム渡しています。フィルとキーの 2 系統を出すため、Mac と機器の間の転送量が性能を決める要素のひとつになります。
| フォーマット | Mac → DeckLink の転送量(8bit・フィル+キー) | SDI の規格(1 系統あたり) |
|---|---|---|
| 1080p29.97 | 約 250 MB/s | HD-SDI(1.5G) |
| 1080p59.94 | 約 500 MB/s | 3G-SDI |
| 2160p29.97 | 約 1.0 GB/s | 6G-SDI |
| 2160p59.94未検証 | 約 2.0 GB/s | 12G-SDI |
転送量は、画素数 × 4 バイト × フレームレートで計算した値です。
BANDWIDTH WITH ALPHANDI の帯域
AIR TAKE の NDI は、アルファ付きの NDI High Bandwidth(SpeedHQ 4:2:2:4)で送ります。全フレームを単独で圧縮する方式で、アルファがない場合より 2 割ほど帯域が増えます。
| 送り方 | 最大帯域(1 本あたり) | 1GbE での本数の目安 |
|---|---|---|
| 720p59.94 | 約 132 Mbps | 5 本まで |
| 1080p29.97 SDI・サブモニターと同時に使うとき | 約 141 Mbps | 5 本まで |
| 1080p50 | 約 157 Mbps | 4 本まで |
| 1080p59.94 NDI だけで使うとき | 約 165 Mbps | 4 本まで |
帯域は NDI 公式資料の最大値です(映像の内容によって変わります)。1080p29.97 の値は、同じデータ量になる 1080 60i の値を載せています。本数の目安は、1Gbps の 75% までを使うとした場合です。※4
AIR TAKE 2 はキャンバスの解像度のまま NDI で送るため、4K・8K や縦型では帯域が上の表より大きくなります(画素数にほぼ比例)。4K 以上は 10GbE をおすすめします。受信側のソフト・機器がその解像度に対応しているかも確認してください。
ネットワークの推奨
- 有線 LAN・1GbE 以上。Wi-Fi はおすすめしません。送信側と受信側を同じスイッチにつなぐのが確実です。
- 回線の使用率は 75% までに抑えます。ほかの NDI や配信のトラフィックと合算して計算してください。
- 同じサブネットに置きます。送信元は mDNS(UDP 5353)で見つかり、映像は TCP 5960 以降のポートで流れます。ファイアウォールでこれらを開けておきます。
- 受信側:OBS は DistroAV プラグイン、ほかに vMix・TriCaster など NDI を受けられるソフトで受信できます。
- 受け手がいないときは NDI の処理を止めます。受信しているソフトがなければ、合成も音声の取り出しも行いません。
AIR TAKE 2 OVER IPSRT とリモート操作(AIR TAKE 2)
SRT は、インターネット越しでも映像を安定して送るための方式です。AIR TAKE 2 は送る側(Caller)として PROGRAM を送り、受ける側(Listener)として外部の映像を背景に使えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| SRT 送出 | Caller・live モード。映像 H.264 Main(B フレームなし、2 秒ごとにキーフレーム、BT.709)、音声 AAC-LC 48kHz ステレオ 128kbps、MPEG-TS |
| 映像のビットレート | 1〜50 Mbps(既定 8 Mbps)。回線には、映像+音声の約 1.1 倍に、再送用の余裕 25% を足した帯域を使います |
| 遅延 | 60〜8000 ms。目安のプリセットは LAN 120/国内 300/海外 800 ms(送信側と受信側の大きいほうが使われます) |
| 暗号化 | AES-128/192/256(既定 256)。パスフレーズは 10〜79 文字。Stream ID は 512 バイトまで。SRT の URL を貼り付けて設定できます |
| 接続が切れたとき | つながるまで自動で再接続(1 → 2 → 4 → 5 秒の間隔)。再接続後はキーフレームから送り直します |
| SRT/NDI の受信 | SRT はこの Mac で Listener として待ち受け、NDI は LAN 上の送信元を選びます。受けた映像は PROGRAM の背景として合成し、音声は使いません。SRT は透過(アルファ)を運べないため、透過テロップを受けるときは NDI を使います。公式サイト版は NDI の受信にも NDI Tools が必要です |
| iPad リモート | AIR TAKE Remote(無料・iPadOS 17 以降)。同じ LAN または VPN(Tailscale など)内だけで接続し、同時に 4 台まで。やり取りするのは送出の状態と操作だけで、映像は送りません(素材のサムネイルは設定で表示できます) |
SRT の遅延・途切れ・画質は、回線の状態と受信側によって変わります。本番の前に、実際の回線と受信側で評価版を使って確かめてください。
CODECS & DATA RATES素材とデータレート
静止画は PNG・PSD・TIFF・JPEG・HEIC・BMP・GIF・EXR、動画は MOV・MP4・M4V・MXF・AVI を読み込めます※6。本番でおすすめするのは、次の組み合わせです。
透過が必要な素材
静止画は PNG、動画は ProRes 4444をおすすめします。ProRes は各フレームを単独で圧縮するため、J・K・L キーでの逆再生・倍速再生・頭出しの反応が良くなります。
透過が不要な素材
ProRes 422 HQをおすすめします。H.264・HEVC はファイルが小さくなる代わりに、逆再生や頭出しで処理が重くなります。そのまま流すだけの素材なら問題ありません。
| コーデック | 1080p29.97 | 1080p59.94 | 2160p29.97 | 2160p59.94 |
|---|---|---|---|---|
| ProRes 4444(透過あり) | 330 Mbps ≈41 MB/s | 660 Mbps ≈83 MB/s | 1,326 Mbps ≈166 MB/s | 2,652 Mbps ≈332 MB/s |
| ProRes 422 HQ | 220 Mbps ≈28 MB/s | 440 Mbps ≈55 MB/s | 884 Mbps ≈111 MB/s | 1,768 Mbps ≈221 MB/s |
値は Apple ProRes の目標データレートです。次の素材の先読みや DSK と重なる瞬間があるので、ディスクの読み込み速度には 2 倍以上の余裕を見てください。
KNOW BEFORE YOU GO LIVE本番前に、負荷を数字で確認できます
性能が足りているかは、推測ではなく実際の数字で判断できます。アプリの画面に、次の値を常に表示しています。
- GPU の使用率:1 フレームの描画にかかった時間が、1 フレームの持ち時間(59.94p なら約 16.7ms)の何 % かを表示します。
- 落ちフレームの数:コントロールバーに表示します。本番前に数分流して、0 のままであることを確認します。
- CPU・メモリ・発熱・電源:発熱で性能が落ちたときや、バッテリー駆動のときは警告します。
- 本番前チェック:素材・解像度・出力フォーマット・SDI 機器・素材の置き場所をまとめて確認し、最後に SDI へ 30 秒流して落ちフレームを数えます。
- 送出ログ:いつ何を出したか、落ちフレームがいつ出たかを記録します。
数字の確認は、あなたの機材で。評価版はすべての機能を無料で試せます。
評価版をダウンロード AIR TAKE 2・無料・DMGIntel Mac では AIR TAKE 1 の評価版 をお使いください。
NOTES / ご注意
- ※1このページの数値は、設計上の値、または公開資料に基づく参考値です。実際の性能は、お使いの Mac・DeckLink 機器・ドライバー・ネットワーク・素材によって異なります。すべての環境での動作を保証するものではありません。本番の前に、必ず評価版で実際の構成を確認し、予備の送出手段をご用意ください。責任の範囲は利用規約のとおりです。
- ※2AIR TAKE 2 は Apple シリコン搭載の Mac 専用です。Intel Mac では AIR TAKE 1(1.x)をお使いください。AIR TAKE 1 は Intel Mac での起動と基本的な送出を確認していますが、性能は機種によって大きく異なります。4K や複数の出力を同時に使う場合は、Apple シリコン搭載の Mac をおすすめします。
- ※3動作確認機(Mac mini M2 Pro・メモリ 16GB)で、1080p59.94 の NDI 送信(約 59.6fps・音声 48kHz)と、v1.1 での ProRes 4444 の 4K59.94p の再生を確認しました。また、30 分間の連続送出試験で送出の失敗が 0 件、メモリ使用量が安定していることを確認しています。
- ※4NDI の帯域は、NDI 公式資料「NDI High Bandwidth based on SpeedHQ7 (8bit 4:2:2:4)」の最大値です。実際の値は、映像の内容・音声・ネットワーク環境によって変わります。NDI® is a registered trademark of Vizrt NDI AB.
- ※5出力できるフォーマットとフレームレート、フィルとキーを別々に出せるかどうかは、お使いの DeckLink 機器とドライバー(Desktop Video)によって異なります。アプリの設定画面に、その機器で出せるかどうかを表示します。
- ※6扱える動画のコーデックは、macOS のバージョンによって異なります。拡張子が同じでも、再生できないコーデックがあります。